ネオアンチゲンとは

ネオアンチゲンとは


がん細胞が増殖するメカニズムに着目

私たちの細胞は体内で絶えず分裂し、新しく生まれ変わっています。この分裂の過程においてDNAのコピーミスが起ることが、がんの起源と言われています。通常は修復機能により正常化されるか、自己免疫が異物と認識することで、異常な細胞が発生しても消えていきます。しかし、自己免疫の低下などを理由に、攻撃を逃れて生き残ったがん細胞が増殖し続けると、がんが発生してしまうのです。

このがん発生のメカニズムに着目し、免疫の力で変異した細胞の増殖抑制を狙ったものがネオアンチゲンによる免疫療法です。ネオ(新しい)アンチゲン(抗原)とはその名の通り、がん細胞特有のDNA変異によって新しく出現した抗原のこと。正常な細胞には存在せず、がん細胞にだけに見られるネオアンチゲンは、いわば“がん細胞の目印”です。

患者さまごとに発生するDNA変異の部位は異なるため、ネオアンチゲンも患者さん固有のものになります。一人ひとり異なるネオアンチゲンをペプチド化して投与することで、患者さまによって異なるがん細胞を的確に攻撃できるようになります。

ネオアンチゲンの見極めに不可欠なCTC

がんが進行し、大きさ1.5mm程度になったがん細胞は、栄養や酸素を得るためにがん原発巣から血管内へ入り、周りにしみ込むように広がっていきます。この血液に乗って移動するがん細胞のことを、循環がん細胞=Circulating Tumor Cell(CTC)と呼びます。がん原発巣を離れたCTCは血液を介して遠隔地で定着、臓器などへの転移をくり返します。本研究会が推奨するノバセラム社の特許技術は、CTCから遺伝情報を特定し、がん細胞特有のネオアンチゲンを迅速、そして正確に見極められる点に強みがあります。従来の抗がん剤治療では改善が難しいと判断されてきた、進行がんの細胞への攻撃を可能にします。


これまでは、末梢血5ml程度からわずか数十個しかCTCを採取できず、詳細な解析が困難とされてきました。しかしノバセラム社が開発したアフェレーシス(濃縮CTCを採取する技術)によって、これまでの採血の1万倍以上、10万個のCTCを得ることが可能に。十分な数のCTCを活用することで、精度の高い解析やネオアンチゲンの同定を行うことができます。この大量採取技術こそが、体への負担が少ない治療の実現につながっています。


がんの進行を抑制する新たな選択肢に

私たちが研究を進めるノバセラム社の循環がん細胞由来ネオアンチゲンペプチドの技術は、日本、ヨーロッパ、アメリカなどですでに特許を取得しています。正常細胞には存在しないがん細胞特有のネオアンチゲンを標的とするため、通常の抗がん剤より副作用が少ないことはもちろん、高い治療効果に期待が寄せられています。次世代のがん治療として多くの患者さまに周知することが、研究会のめざすところです。

従来の抗がん剤治療では改善が難しい進行がんの患者さまにとって新たな選択肢、そして未来への希望を見出すアプローチとなることを願っています。

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